うかつにも今回、飯豊町を訪問するに当たって、取材先リストにお米の生産者を入れていなかった。
いいご「飯」が「豊」かな町なのだから、飯豊(いいで)町のお米がおいしくないわけがない。町の名を冠するものを、知らぬままでは帰れない。
急遽、米農家さんを訪ねることにした。
事前のアポなし、突撃取材……。
イヤな顔をされても仕方がない状況で出会ったのが、「いいで米ネットワーク」の新野 真太郎さん(37)。
ときどき、初対面なのに、ほぼ確信的に「絶対イイ人!」と思わせる人がいるが、新野さんはそんな人の1人。
突然押しかけたにも関わらず、満面の笑みで迎えてくれた。
Tシャツの胸には「 I ♥ RICE 」。
まるで撮影のためにスタンバイしてくれていたかのようだ。
くしくも空は、台風一過の快晴。最高の撮影日和に、白と青の衣装(!?)が青空とコントラストを描く。(ついでに黄色のタオルと稲穂も!)
完璧なセッティングだ。
台風の影響で稲が一部、横倒しになってしまったが、なにしろ各地で大被害を出した超大型台風だ。大損害が出てもおかしくなかった。それでもここの稲はしっかりと大地に根を張り、猛威をしのいだ。
あと10日ほどで、収穫を迎えるのだ。
このタイミングで被害が出れば、その影響は計り知れない。
それには理由がある。
「自分のお米は、自分を信じてくれる人に届ける」
新野さんは父親から米づくりを受け継いだが、日本のほとんどの米農家が取引する農協への出荷を20年ちかく前に止めている。
「自分の育てたお米を誰に食べていただくか? それを自分たちで選べる道を選びました。」
新野さんはサラリとそう言うが、米農家にとってそれはもの凄く大きな決断だ。
農協と取引すれば、作ったお米は全て引き取ってもらえるし、万が一が起きた場合も保障してくれる。農家はつくるまでが仕事で、あとの販売等は農協がやってくれる。
その方が楽だし、セイフティ(安全)だ。
しかしそうすると、せっかくつくった自分のお米が、大勢の人のお米と混ざり「山形県産」とひと括りにされてしまう。
新野さんら「いいで米ネットワーク」のお米は、特別栽培米だ。
農薬や化学肥料の使用を一般的なお米に比べ8割も削減すべく努力し、山形県知事からエコファーマー認定も受けている。
そうして育てたお米が、“その他大勢” と一緒になり、ただ「山形県産米」となってしまうのは、はたしてベストなのだろうか?
自分と自分の育てたお米をもっと良く知ってもらい、同時に、お客様のことをもっと良く理解できるやり方は…?
行き着いた答えが、リスクは自ら引きうけて、お客様に直接販売する直売システムにすることだ。
こうして若手有志4人の生産者が集い、「いいで米ネットワーク」青年部が立ち上がった。
外部環境の追い風もあった。
飯豊町は、低炭素社会・循環型社会推進へ向け、バイオマスを利用したまちづくりにとり組んでいる。
特産の米沢牛などの排泄物を堆肥化する有機肥料センターが建設され、エコな農業を後押ししたり、収穫したお米を保管する雪室低温 貯蔵施設なども整備された。
環境保全型農業を町全体としても、推し進めようとしている。
飯豊山系のミネラル豊富な湧き水と豊かな土壌。
寒暖差の大きな気候。土づくりのための絶えまない研鑽。
【天の恵み】【地の利】【人の努力】の賜物として、22年連続「特Aランク」に輝きつづけた「はえぬき」をはじめ、人気・実力とも急上昇の「つやひめ」、新鋭の「雪若丸」など、各種銘柄米を安定して高品質で栽培しつづけている。
そのうえ、おいしさを届ける努力は収穫後もつづき、低温貯蔵するお米は「もみ殻貯蔵」を基本とし、年の後半になっても新米のようなみずみずしさを保つよう配慮している。(一般には収穫後すぐに脱穀し「玄米」の状態で保管する。「もみ殻」貯蔵することでお米の劣化を大幅に軽減できる)
これら努力が実を結び「いいで米ネットワーク」のお米は、全国お米まつり・日本一コンテストで優良賞を受賞するなど、着実にお客様の支持と実績をつみ重ねている。
いいご飯が豊かな町・飯豊(いいで)で、新野さんら「いいで米ネットワーク」は、その名に違わぬお米づくりを実践し、イイ人、イイ米、イイ出会い(イイデ愛)をつないでいる。
「いいで米ネットワーク」のお米は、東京・JR高円寺駅 北口 徒歩3分の飯豊町アンテナショップで購入可能!
「高円寺純情コミュニティ カフェ&ショップ IIDE」
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