小池糀店
小池糀店

木曽町ではそこかしこで、「はっこうのまち 木曽町」という言葉を目にする。しかし、ここではあえて「発酵するまち 木曽町」といいたい。似ているが、ちょっと違う。

発酵食品が「いろいろある」町ではなく、モノもヒトも、フツフツと発酵している、アツイ町だから。一見クールに見える人も、話してみると、熱いものを内に秘めている。たとえば…

・「いちこうじ」といって、生活のすべてを糀(こうじ)最優先で暮らす職人さん

・「住民1人1人が、町のガイドにならなければいけない!」との思いから、町民向けガイドブックをつくってしまう経営者

・ 80才も目前なのに、毎朝3時には厨房にきて惣菜づくりの仕込みを始めるおばあちゃん(日が暮れるまで、農作業もしている!)

並みの熱量で、こんなことは続かない。

おいしい「発酵食」があるのはうれしいけど、それを伝える「人」も面白くなくっちゃね……。 そんなムチャな要望にも、木曽町はしっかり応えてくれる。

人も町もアツイ、「発酵するまち 木曽町」へ、ようこそ。

【木曽町 #1】 強い糀(こうじ)が、ウマさの秘訣。小池糀店が守りぬく味噌玉のスゴさ!

小池糀店

こんな作り方をしている味噌屋さんは、日本中を探しても、もはやほとんど見つけられない。

創業 明治12年。130年来の製法を一途に守りつづけている… というと、ありがちなキャッチコピーのようだけど、(そして実際に訪ねてみると、近代的な工場だったりするケースが多いのだけど…)

ここ、小池糀店さんは、本物だ。
ズラリ並んだ味噌玉がなによりの証拠で、その存在感に圧倒される。

「割れ目のところを、よく見てください。」
工場長の唐沢裕之さんに促され、目を凝らすと、フツフツと泡が出ている。

小池糀店

味噌が、呼吸をしているのだ。
発酵食品が体に良いのも、善玉菌が生きていればこそ。

この時期、唐沢さんは文字通り、「いちこうじ」(生活の全てにおいて糀づくりを最優先すること)を実践しているのだが、それは決して糀を過保護に育てるのとは違う。むしろ逆だ。

「うちは、糀を甘やかしません。強い糀を育てます。それが旨さを生むんです。」

唐沢さんが力強くいった。
その秘密を明かしてくれた。

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【木曽町 #2】 伝統を守りながら、跳ぶ! 味噌屋がつくる「味噌せんべい&ピリカラ糀」

小池糀店_味噌せんべい

「老舗」とか「伝統」という言葉には、どうしても堅苦しいイメージがつきまとう。
でも、おいしいものを食べるって、そもそも楽しいこと。なにも難しく構えることはない。

小池糀店さんの場合、こだわりが凄くて、その背景を知るとありがたみも増すので、つい力が入ってしまうが、食べるときは純粋に楽しめばいい。

気軽に「お茶しましょう」というとき、まさにうってつけのものを見つけた。
『味噌屋の木曽味噌せんべい』

厚めのせんべいに、糀味噌をた〜っぷり塗って、炙り焼きにしている。ぜいたくなことに、2年もの間じっくり寝かせた『味噌玉 自然派味噌』を使っている。

小池糀店

みりんやハチミツと絡めているので甘辛風味。
焼くことで、味噌の芳ばしさが一層香りだち、ほどよいしっとり感も生んでいる。

これを食べると、あらためて「食はエンターテインメントだなぁ〜」と思わせられる。

いってしまえば、「たかがせんべい1枚」なのだが、その「たかがせんべい」で、人はこうも幸せな気持ちになれるのだ。

小池糀店のスタッフさんからは、和気あいあいの雰囲気が伝わってくるのだけれど、
「そりゃ、こんなおせんべい食べて、いっしょにお茶してたら、気持ちもやさしくなるよね。」

そう思ってしまうのだ。

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開田高原_御嶽山

木曽町は、平成17年に木曽福島町・日義村・開田村・三岳村の4町村が合併して生まれた、県内町村 最大面積を有する町。それぞれの旧町村に独自の歴史・文化があり、ひとくちに「これが木曽町です」とまとめるのは難しい。

そんな中、「最も美しい村」として真っ先に名乗りをあげ、多くの来訪者を惹きつけ続けてきた場所が、旧開田村だ。

御嶽山の麓に広がる冷涼な高原地帯で、酪農・乳製品で知られる。冬は、スキーリゾート地としても有名だ。もともと「日本で最も美しい村」連合に加盟していたのが旧開田村で、合併後の再申請の際に、他地区の資源も見つめ直し、あらためて木曽町全体として「最も美しい村」に申請・認定された経緯をもつ。

その開田高原を訪れた人が、必ずといって良いほど立ち寄る場所がある。開田高原アイスクリーム工房だ。

【木曽町 #3】 朝、搾りたての牛乳でつくる、開田高原アイス、チーズ&ヨーグルト

開田高原アイスクリーム工房

この日は、かなり寒かった。
東京ではまだ半袖で十分だったけど、木曽町中心部を経て、開田高原に向けて標高を上げていくと、グングン涼しくなる。

車を降りる頃には、もう肌寒く感じたほどだ。
それでも、アイスクリーム工房の前には、行列ができている。
小雨も降り出してきたのに、だ。

「今日は、アイスは(食べなくても)いいかな…」 そんな気持ちが実は内心、芽生えていたのだけれど、店内に入ると気持ちがガラッと変わった。

とうもろこし、はちみつ、チーズ、えごま、かぼちゃ、そば、ヨーグルト……
10種以上の個性的なアイスが、ズラリ並んでいる。

これは、絶対に食べないと損!!
そう直感する。

開田高原アイスクリーム工房

逸る気持ちを抑えて、他のお客さんの様子をしばし眺めていると、この日の1番人気は、「とうもろこしのソフトクリーム」と分かる。さっそく真似てみる。

甘さ控えめ、しっかりとうもろこしの味が効いている。

それもそのはず、ここ開田高原のとうもろこしは高糖度で知られ、収穫期には採れたてとうもろこしを求めるファンが大勢やってくる。

その開田高原とうもろこしを惜しみなく使っているから、砂糖の力に頼らずとも、自然のやさしい甘さがでる。

アイスがおいしいのは勿論なのだが、実はこのアイス工房で、私がとりわけ惹きつけられたのは、チーズだ。

「ALL JAPAN ナチュラルチーズコンテスト 優秀賞」受賞のカマンベールチーズ 同「中央酪農会議 会長賞」受賞のクリームチーズなど、その品質は折り紙付き。

社長の斉藤信博さん自身が、チーズ職人でもある。

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【木曽町 #4】 伝統と革新 その2 〜 食物性乳酸菌でつくるヨーグルト『SNKY』と豆乳『SN26』

【木曽町 #2】 伝統を守りながら、跳ぶ!で紹介したように、木曽町は歴史・文化を大切に受け継ぎながらも、“遺産” として残すのではない。

「はっこうのがっこう」も、「味噌せんべい」もそう。
伝統を大切にしながら、それを生かしてさらに跳ぶ!

植物性乳酸発酵ヨーグルト 『SNKY』(スンキー) と 同豆乳 『SN26』 は、その典型だ。

ことの始まりは、村の伝統的な漬物「すんき」にある。
漬物とヨーグルト。漬物と豆乳??

ふつうなら結びつくわけがない、これら伝統的発酵食品が、
木曽町では新たな健康食品に生まれ変わり、人気を集めている。

開田カブ

「すんき」とは、この地でしかうまく育たないとされる伝統野菜・黒瀬カブ等を植物性乳酸菌で発酵させてつくるお漬物のこと。

なんと塩を一切使わない「無塩漬物」だ。
(お漬物は好きだけど、塩分が気になる… という人でも、この「すんき」なら心配ご無用!)

その「すんき」には、約50種もの植物性乳酸菌が含まれているのだが、この “すんき菌” をもっと他にも生かせないか、という思いから、

『SNKY』は、長野県工業技術センターとの共同開発に6年、
『SN26』は、東京農業大学・信州大学等との研究開発に約5年もの年月をかけてようやく商品化にこぎつけた。

『SN26』に関しては、花粉症やアトピー等、アレルギーを予防・軽減する機能が有意に認められるとの発表もあり(※1)、俄然注目を集めている。

※1 参考文献) 増田健幸・保井久子ほか:Jap. J. Lact. Acid Bacteria 21: 42-49. 2010

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御嶽山

木曽地方を代表する霊峰・御岳山(標高3,067m)。山深い木曽では、「米は貸しても塩は貸せるな」といわれるほど、塩は貴重品だった。

「塩を使わずに野菜を長期保存するには?」「長くきびしい冬をいかに乗り越えるか?」

「すんき漬」は、そんな困難を克服するために先人たちが生みだした、まさに知恵の結晶だ。

【木曽町 #5】 地元の母ちゃんたちが灯す、地域の希望。「みたけグルメ工房」の軌跡

みたけグルメ工房

植物性乳酸発酵ヨーグルト 『SNKY』(スンキー) と 同豆乳 『SN26』を知った以上、やはり本家本元の「すんき」をこの目で見てみたい。食べてみたい。そう思うのは、当然だ。

「すんき漬」名人を探して、訪ねていったのが、「道の駅 三岳」内にある「みたけグルメ工房」さん。代表の西尾礼子さんに話を伺おう、と思ったのだが……

厨房は活気にあふれ、女性スタッフは皆、大忙し。団体予約のお弁当とおぼしきオードブルが仕上がったところで、そろそろ…… と思いきや、「もう味噌おにぎり、全部売切れてるって〜っ! 誰か追加、お願い〜!」の声が。

みたけグルメ工房

事務所の壁には、これまでに受賞した各種料理コンクールでの表彰状や地域活性化への貢献を称える報道記事等がビッシリ掲げられている。

農林水産大臣賞長野県知事賞など、賞状だけでも数十枚、新聞記事を含めると、ゆうに50枚を超えている。

「それでも最初は、1日の売上が1万円もいかなくてね。とにかく毎日、必死だったのよ」

ようやくひと息ついて、椅子に腰かけた西尾さんが明かしてくれた。

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