小池糀店

【木曽町 #1】強い糀(こうじ)が、ウマさの秘訣。小池糀店が守りぬく「味噌玉」のスゴさ!

「はっこうのまち 木曽町」を標榜するだけあって、木曽町には発酵食品のおいしさと奥深さを実感できる場所がたくさんある。

町内の観光地として名高い開田高原では、毎朝、搾りたての牛乳からつくるアイスクリームが有名だが、ここのチーズ&ヨーグルトも逸品の名に値する。

「ALL JAPAN チーズコンテスト」で優秀賞を受賞したカマンベールをはじめとする、フレッシュチーズの品質は折り紙付きだ。ただ今回の特集ではそれらに先んじて、まず知る人ぞ知る木曽町の隠れた逸品をご紹介したい。

こちら小池糀店さんにある。

「えっ…」と思われただろうか?

ひなびた田舎の個人商店といった佇まいで、何も知らなければそのまま前を通り過ぎてしまいそうだ。

扉を開け、店内に1歩踏み入れても、わずかな店舗スペースがあるだけなので、もしかすると地元の人でさえ、ここのスゴさに気づいていない人がいるかもしれない。

そんな小池糀店さんだが、
その中身たるや、スゴい。

このまま後世に伝え残したいと思うほど、糀(こうじ)味噌づくりの叡智が受け継がれている。

小池糀店

圧巻の「味噌玉」。この状態で約2週間、急かさずじっくりと発酵を促す。

創業 明治12年。130年来の製法を一途に守りつづけている… というと、ありがちなキャッチコピーのようだけど、(そして実際に訪ねてみると、近代的な工場だったりすることも珍しくないのだけど…)

ここ、小池糀店さんは、本物だ。
ズラリ並んだ 「味噌玉」 がなによりの証拠。

こんな作り方をしている味噌屋さんは、日本中を探しても、もはやほとんど見つけられない。

「味噌玉」という製法があり、昔はどこもこうして作っていたと聞いたことはある。ひもで吊るして発酵させる土地もあったと聞く。が、あくまで、話だけだ。現物にはお目にかかれない。

それほどの手間をかけて作る人は、もういないから。
それが今、目の前にズラリとある。

糀(こうじ)第1の「いちこうじ」。決して甘やかさず、厳しく、糀を育てる。

小池糀店

「割れ目のところを、よく見てください。」
工場長の唐沢裕之さんに促され、目を凝らすと、フツフツと泡が出ている。

味噌が、呼吸をしているのだ。
発酵食品が体に良いのも、善玉菌が生きていればこそ。

この菌を活性化させる、強い糀をつくることが、味噌の旨さに直結する。だからこの時期、唐沢さんは文字通り「いちこうじ」(生活の全てにおいて糀づくりを優先すること)を実践する

糀づくりには、昼夜を問わず、丸3日間、職人の手がかかっている。
糀菌と人との協働作業により、強くてうまい糀が完成する。

小池糀店
小池糀店

「うちは、糀を甘やかしません。強い糀を育てます。それが旨さを生むんです」

唐沢さんは、力強くそう言う。
そうして、まさしく糀により添うようにして作った糀を塩と一緒に「味噌玉」に混ぜて、じっくり寝かせる。

その期間、じつに2年!

 
しっかり鍛えた、力強い糀が、ゆっくりと時間をかけて大豆を分解し、味噌に変えていく。

その間に1度だけ、仕込んでから最初の夏に、桶を移し替える「天地返し」という作業があるものの、それ以外はただひたすらに、じっと、おいしい味噌が完成するのを待つ。

それほどに辛抱強く、待ち続けることでようやく出来上がるのが、小池糀店さんのこちらの味噌。

小池糀店
木曽町バナー

関連記事

  1. ピンクレディージャム

    【阿智村 #3】ピンクレディーに魅せられて。誰よりおいしく、美しいリンゴを

  2. allan_west

    【特別対談 #1】日本画家 アラン・ウェスト 〜 理想の顔料を求めて、日本へ

  3. レモン鯛

    【岩城島 #3】レモンの島では鯛さえもレモン好き!?『レモン鯛の蒸し焼』に目が点

  4. いいで米ネットワーク

    【飯豊町 #2】いいで米ネットワークは、飯豊町のイイ人、イイ米、イイ出会いをつなぐ

  5. 香月

    【飯豊町 #5】人気菓子店「香月」は、兄・和菓子、弟・洋菓子を通して町を元気にする!

  6. 中井春風堂

    【吉野町 #3】「賞味期限は10分。」ここに来なければ食べられない、本物の「吉野本葛」を学び、食す、世界に1つの葛道場

  7. allan_west

    【特別対談 #3】日本画家 アラン・ウェスト 〜 美しき日本を求めて。

  8. 【木曽町 #2】小池糀店の味噌せんべい、ピリカラ糀、甘酒は専門店ならではの逸品ぞろい!

  9. 『旬菜みそ茶屋 くらを』

    【横手市 #1】こうじ味噌屋の母から娘へ「疲れたときは帰ってきなさい。私が元気にしてあげる」

  1. 南三陸町復興公園

    【3日間限定|送料無料】南三陸の美味「酒肴セット&オリーブオイ…

    2021.03.11

  2. 愛媛県上島町・岩城島の柑橘

    「今すぐ、あるだけ全部送って!」プロが全量買いつけたフルーツと…

    2021.03.02

  3. 和菓子の侘び寂び 〜「香月のイチゴ大福」は眺めたあとに舌鼓

    2021.02.28

  4. あと2週で終了「これが本物か!」と驚くワカメしゃぶしゃぶの旨さ

    2021.02.21

  5. うれしい誤算… 季節をめぐる完熟ジャムが次々に売り切れる

    2021.02.16

  1. 『大玉村Book』期間限定プレリリース!

    2018.07.30

  2. 愛媛県上島町・岩城島の柑橘

    「今すぐ、あるだけ全部送って!」プロが全量買いつけたフルーツと…

    2021.03.02

  3. endoji_street

    『名古屋 円頓寺商店街の奇跡』〜 シャッター街は甦ったか?【書評】

    2018.09.04

  4. 朝ごはん

    「何を買うかより、誰から買うか」。僕たちはもう、おいしいだけの…

    2019.05.27

  5. 阿智の里の漬物

    【SHOP】阿智村の漬物シリーズ1〜5|みょうが・赤根大根・らっき…

    2019.06.17

「上島町 岩城島」特集

岩城島バナー

「あちの里」特集

阿智村特集

「山形県 飯豊町」特集

飯豊町BOOKバナー

「福島県 大玉村」特集

大玉村BOOK
メルマガバナー