▼ 開田高原に行ったら、必ず食べるべきアイスクリーム
▼ 資源は磨いてこそ光る。木曽町の乳製品
▼「足もとを掘れ!そこに泉が湧く」
▼ ALL JAPAN コンテストでダブル受賞!ナチュラルチーズでも逸品を生む
開田高原に行ったら、必ず食べるべきアイスクリーム
これからアイスクリームを食べるというのに、この日はかなり寒かった… 信州・木曽町の中心部から、冷涼な開田高原へ向かう。標高が上がるにつれ、気温はグングン下がっていく。車を降りる頃には、もう明らかに寒いと感じていた。
それでも「開田高原アイスクリーム工房」の前には、行列ができている。
内心では「今日はもう、アイスは(食べなくても)いいかな…」。そんな気持ちになっていたのだが、店に入るとその気持ちが一変する。
とうもろこし、はちみつ、えごま、
かぼちゃ、そば、チーズ、ヨーグルト……
バリエーションに富んだ、個性派アイスがズラリ並んでいる。
これは食べないと損! 急に気持ちが高ぶってくる。寒さのことは、もう頭にない。
さっそく注文したくなる衝動を抑えて、しばし他のお客さんの様子を観察してみる。
この日は平日のせいか、年齢層は少し高め。女性同士のグループとシニアのカップルが多い。そのうちの半分ほどが「とうもろこしのソフトクリーム」を注文している。なるほど… こうして自分が注文するアイスも決まる。
ハチミツ、えごま、チーズ、ヨーグルト… 目移りするが、それらはお土産に買って帰ることにする。
そうしてありついた「とうもろこしのソフトクリーム」は、しっかりとうもろこしの味が効いている、なるほどのおいしさ。
ここ開田高原は、非常に高糖度なとうもろこしの産地として知られ、夏場の収穫期には、朝採りとうもろこしを求めるファンが遠方から多数やってくる。その開田高原とうもろこしを惜しみなく使っているから、このソフトクリームの旨さが生まれる。
「開田高原アイスクリーム」と「開田高原とうもろこし」。2つの人気商品のかけ合わせにより、「ここに来たら食べなきゃいけない」メニューになっている。
資源は磨いてこそ光る。木曽町の乳製品
これだけアイスクリームが人気なのだから、開田高原にはさぞかし広大な牧場があるのだろうと思いきや、どうもそうではないらしい。
車を走らせても、あまり牧場を見かけない。むしろ、日本在来馬(和種)「木曽馬(きそうま)の里」の看板の方が目立つ。
不思議に思いつつ、「開田高原アイスクリーム ファクトリー」を運営する(株)エイチ・アイ・エフの斉藤信博 社長にお話を伺った。
「うちのアイスクリームに使う牛乳はすべて、当社役員でもある牧場主の牛から採れたものです。毎朝、搾りたての生乳を運びいれ、アイス工房内で殺菌して使っています。」
「1日、約70トンですから、量自体はそれほど多くありませんが、もともとのコンセプトが旧 開田村(※1)の原料を使っていくことですから、基本は身近にあるものを生かします。」
「今は、木曽郡内のものを優先し、アイスのフレーバーは常に10種類ほど。ただし、無理に広げようとせず、原料不作のときは品切れのときもあります。」
話を聞くうちに、少しずつ開田高原アイスクリームの人気の秘密が見えてくる。
※1 木曽町は平成17年に開田村・日義村・三岳村・木曽福島町の4町村が合併して誕生。旧 開田村だけは合併前から単独で「日本で最も美しい村」連合に加盟していた。
「足もとを掘れ!そこに泉が湧く。」
開田高原では、借り物の “まちおこし” ではなく、地に足ついた まちづくりを実践している。
足もとの資源を冷静に見つめ(現状認識)
↓
コレと決めた強みを磨き(発掘・向上)
↓
よそから抜けでるまでトライアル&エラーをつづける(継続)
↓
「地域ブランド」として認知される(浸透・拡大)
地方の人と話していると、「いいわよねぇ、あそこは」とか、「うちにはなにもない」などの言葉が出ることがある。隣の芝生は青く見えるもの。
開田高原にはスキー場があるが、決して恵まれた環境ではない。無いものねだりではなく、あるものを磨くことで、これほどに人気のアイスブランドを築くに至った。
「足もとを掘れ!そこに泉が湧く。」その言葉のとおり、実践しつづけたのが開田高原といえる。
ALL JAPAN ナチュラルチーズコンテスト で優秀賞 獲得!
チーズ&ヨーグルトでも逸品を生む
アイスクリームの存在に隠れているのだが、ここのチーズとヨーグルトも見逃せない逸品だ。なにしろ斉藤社長自身が、チーズ職人でもある。
『カマンベールチーズ』は、「2009 ALL JAPAN ナチュラルチーズコンテスト」で優秀賞を獲得。さらに『クリームチーズ』が、同「中央酪農会議会長賞」受賞。
見事ダブル受賞の栄誉を勝ち取っている!
「足もとを掘れ…」の言葉のとおり、たった一軒の牛乳を生かすべく、技を磨くうちに泉がわき、人が集まるオアシスになった。
アイスクリームにつづき、チーズでもたしかな結果を生むことで、工房の評判はいよいよ高まる。さらに足もとを見ると、木曽町にしかない発酵食品「すんき」に気づく。それが画期的な機能性ヨーグルト『SNKY』(スンキー)誕生につながるのだが、この話はぜひ次回あらためて。
「発酵のまち・木曽町」に「開田高原アイスクリーム工房あり!」です。
「開田高原アイスクリーム工房」
ーーーーーーー
【住所】長野県木曽郡木曽町開田高原末川4411−9
【TEL】 0264-42-1133
【営業時間】10:00~17:00
【定休日】1月から3月末まで火曜日定休