朝食はご飯にみそ汁。一汁一菜で立派な朝食のできあがり。ふだんはそう考える和食派です。
でもときどき、無性にパンが食べたくなります。おいしいジャムを頂いたとき、旬のサラダをたっぷり用意したとき。あるいはこの『レモンカード』を手に入れたとき。
日本ではまだメジャーじゃないけれど、レモンカードとはフレッシュなレモン風味を生かしたバタークリームのこと。一般的なバターと違い、常にやわらかなペースト状なので、トーストせずともすぐパンに塗って食べることができます。
通常のバターとの違いが、もう1つ。それは、独特の甘酸っぱさ。バターよりも、ジャムに近い感覚で楽しめます。先日おじゃましたレストランでは、アイスクリームにレモンカードをかけて、食後のデザートに提供していました。「なるほど〜」と感心するおいしさでした。(上からナッツをふりかけて、香ばしさとカリカリ感をプラスしていました)
「青いレモンの島」の母ちゃんたちの苦心作
オシャレで、都会的イメージのレモンカードですが、ここでご紹介する『レモンカード』は、瀬戸内海の人口約2,000人の小さな島で生まれたもの。「青いレモンの島・岩城島」(愛媛県上島町)で郷土料理を伝える「でべそおばちゃん」たちが、改善に改善をかさね、ようやくたどり着いた苦心作です。(※「でべそ」とは、島の方言で「でしゃばり」の意)
島の特産レモンを生かすべくレモン料理のフルコース「レモン懐石」を考案した「でべそおばちゃん」たちによる最大のヒットともいえるのが、この『レモンカード』。
その評判は口コミで広がり、品切りになることもしばしば。なにしろ少人数で、全て手作り、農作業や家事の合間をぬってですから製造量に限界があります。一時は製造をあきらめもしました。
しかし、その味を惜しみ、島の特産品復活を願う声を受け、島内の事業者へレシピを “伝授” して、復活を果たしました!
特産レモンを生かした『レモンカード』と2種類のマーマレード。加工品開発により島の産業を支えている。
おかげで現在は、製造も販売も安定し、島の産業を支える大きな力となっています。ただし、生みの親である「でべそおばちゃん」たちによると、「私らが作った方が、もっとおいしいんじゃ〜」と手厳しいのですが……!?
こうしてワイワイ賑やかに、島民・レモン農家・事業者が一体となって「青いレモンの島」の活性化は進んでいます。
楽しみ方は人それぞれですが、オススメは少し酸っぱみのあるライ麦パンやカンパーニュとの組み合せ。レモンカードのミルキーな甘みが、パンの酸っぱみと中和して、噛むほどに幸せな気持ちになれます。
慌ただしい平日よりも、気持ちに余裕がある休日の朝にピッタリ。「でべそおばちゃん」たちと出会ったせいか、食べると「よし今日も!」と一歩をふみ出す元気が湧きます。