「何を買うかより、誰から買うか」。僕たちはもう、おいしいだけのものなど要らない。

朝ごはん

▼ 仕事は「何をするかより、誰とするか」
▼「もっとおいしい」は、もう要らない
▼ 足りてないのは、栄養でもモノでもなく、幸せ…?
▼ 買い物は「何を買うかより、誰から買うか」

仕事は「何をするかより、誰とするか」
この言葉、聞いたことがある人も多いでしょう。私が初めて触れたのは、岩瀬大輔さん(ライフネット生命会長)の本を読んだとき。正直、あまりピンと来なかったので、かえって良く覚えています。仕事なんだから自分が何をするか、その内容の方が大事でしょ… そう思っていました。

それから10年以上たち、今はこの言葉の意味がよく分かります。自分軸でしかものを見ないと、ゴールに向かって一直線の人が “デキる人” に思えたり、周りよりも自分の内容(成果)ばかりに目がいきます。でも、少し時間の尺度を長くもち、自分がどんなときに幸せを実感するか考えてみると、結局、誰かとの接点・関係が良好であるときにこそ充足感は生まれている。

気持ちよく話しのできる人がいる。忌憚なく意見し合える相手がいる。リスペクト(敬意)を持って仕事をともにするチームがある。そのどれもが財産で、その人たちと良好なコミュニケーションが成り立った後に、「いい日だったな」と思える。たった1人で株式チャートとにらめっこしても、こうはいきません。

割烹料理

「もっとおいしい」は、もう要らない
では、買い物、とくに食品を買うときはどうか? ただ「おいしいモノ」であればいいのか? 勿論、マズいものは食べたくないし、買わない。でも明らかにマズいものって、今ほとんど無くなっている。子どもの頃は、スーパーで買い物をして「マズっ!」と口に出るものがありました。それが今や、メーカーや販売店の厳しい競争の末、マズいものはそもそも棚に並ばない。淘汰されています。

程度の差こそあれ、どれもが「ふつうにおいしい」時代に、人はなにをもって買うものを選ぶのか? もっとおいしいもの? 値段? 安心・安全?「顔の見える関係」も一時期流行りました。最近ではインスタ映えや機能性でしょうか?

どれに重きを置くかは人によりますが(年配者は機能性が気になるし、懐が淋しい人は値段重視など)、なにをとっても「ふつうにおいしい」ご時世には、「もっと☓☓」(もっとおいしい、もっと安い、もっとアントシアニン豊富、etc.)のように「もっと」を追い求めることに人は疲れてしまっている。

モノと情報が溢れる中で、おいしさも、安さも、栄養も、もう十分だから、余計なことを気にせずに、安心して食べさせて欲しい。そう思っているのではないだろうか?

室生の朝餉

足りてないのは、栄養でもモノでもなく、幸せ…?
あくまでも十分においしいことが前提ですが、「もっと」の差を競い合う先に、どうやら幸せはなさそうだ……。多くの人はうすうす気づき始めている。それよりも気持ちよく買い物したい。ハッピーに過ごしたい。それならむしろ問うべきは、他者との比較優位性ではなく、信頼できる相手と心地よいコミュニケーションを取れるかどうか。つまり、誰と付き合うかではないか?

NHKの朝ドラ『まんぷく』が放映されていた頃、糸井重里さんがこんなことを言っていて、さすがウマいこと言うな… と感心しました。

“「まんぷく」の主人公(注:インスタントラーメンを発明した安藤百福がモデル)は、いつでも「足りないもの」を探すのが上手でした。敗戦後の闇市の時代には、まずは印鑑が足りないと気づきます。これを、家族総出の手仕事でつくって売ります。やがて、「塩」が足りないと気づきます。その次には「栄養」が足りないことに目をつけます。この時期には、日本全国で数多くの「栄養食品」がつくられ売られていたのだと思います。

栄養ということばは、足りないものの象徴でした。グリコーゲンだの、カルシウムだのという単語を、商品のネーミングに入れたものがたくさんありました。学校で「肝油ドロップ」というものを勧めていました。ぼく自身も、家で「カルシウム」を飲んでいました。

「まんぷく」の主人公は、栄養食品の次に、「栄養もあるけれど、時間が節約できるラーメン」を、社会に問うことにします。そのころには、もう、足りないものは栄養ではなく、「時間」になっていたのです。仕事の時間だけでなく、テレビを観たりする時間も、この時代の人たちには必要になっていましたから。

そのころから「時間」というものは、社会にずっと足りないままのようにも思うのですが、さて、いま、あのドラマの主人公は、なにが足りないと見つけるのでしょうか。ぼく自身は、「たのしさ」が足りないのではと思ってます。”(『今日のダーリン』より一部抜粋)

時短メニューや簡便商品(おそうざい、中食市場)は拡大しつづけていますから、「時間が足りない」は今なお進行中です。「たのしさ」が足りないも、糸井さんらしいです(直接は存じ上げませんがイメージです)。私が思うのは「幸せ」が足りない。みんな幸せなんだろうか? 周りの “ちょっとお金を持ってそうな人” もそれほど幸せには見えない。電車の中を見回すとなんだか皆、ピリピリしている。ちょっとバックが触れようものなら「チッ」と舌打ちされたりする… みんな幸せなんだろうか?

室生の苔

買い物は「何を買うかより、誰から買うか」
おいしさも、安さも、栄養も、100点ではないけれど、もうかなり満たされている。それ以上「もっと、もっと」と追い求めても、幸せになれそうもない。それら “要素”(パーツ)を集めてもキリがない。それよりむしろ、信頼できる相手と気持ちよく話をして、良好につき合える方が、遥かに幸せの実感がある。だとしたら、買い物は「誰から買うか」「誰と付き合うか」だ。

そんなことを考えながら、いろんな町を訪ね、出会い、インタビューしています。それを記事にするのは、気持ちよく付き合える人がどこにいて、どんな想いで仕事や暮らしに向き合っているか触れるため。「いいな」と思える人のおすそわけ。ショッピングもできますが、なにも「究極のグルメサイト」など目指していません。買い物の場所も手段も「足りている」し、食材などどこにでもあるのですから。

これまで記事を公開するなかで、「同じ村に住んでいるのに、あの人がそんなこと考えているなんて知らなかった」といわれることが度々ありました。意外と近くにいても知らないし、深く話し合ったりしないのです。『にっぽんマルシェ通信』で紹介するのは、決して「究極の逸品」とか「最高の品」とはいいません。おいしいのはもはや前提です。それよりも気落ちよく買い物ができる相手なのか? 応援したくなる人か? そんな目線で、人と町をリレーしています。当サイトがあることで、心地よい人との出会いが生まれ、コミュニケーションが増えればうれしいです。

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